ワンピース|ジャンプ漫画完結を祝う粋な扉絵4選
連載から25年経った今もなお人気が全く衰えない海賊漫画「ONE PIECE」(ワンピ)。
そんなワンピースの扉絵も、麦わらの一味が動物たちとわちゃわちゃしていたり、読者のリクエストに応えてみたり、冒険の裏側で展開する扉絵短期集中連載が描かれたりと多種多様。
そしてその扉絵の中には、同じ少年ジャンプの漫画家たちを労う粋な扉絵があるのをご存じでしょうか?
というわけで今回は、ワンピ漫画の完結を記念して描いた粋な扉絵4つについて解説していこうと思います!
766話「スマイル」
少年ジャンプ2014年50号にて、忍者漫画の金字塔「NARUTO」がついに完結。
尾田先生はここまで走り抜けた岸本斉史先生を労うべく、同号に掲載されたワンピース766話「スマイル」で特別な扉絵を描きました。
その扉絵は、ある飲食店にてルフィがある人物とともに食事をしているというもの。 一見すると普通の絵ですが、実はこのイラストの中にはNARUTO関連の様々なメッセージを読み取ることができます。
まず、描かれたキャラクターに注目してみましょう。
この絵に描かれているのはナミ、ルフィ、トニートニー・チョッパーの3人。 彼らの名前の頭文字をつなげるとナ・ル・ト(NARUTO)になります。
続いては壁に貼り付けてあるお品書き。 見えているものを左から頭文字をつなげて読んでみると…
ナスの~
ルッコラのサラダ
とうふ
おつまみ
カレー
三(さん)種~
でん~
しょうゆ焼きそば
たまご
ナルとおつカレー三でした→NARUTOお疲れさんでしたというメッセージになり、同じジャンプで連載してきた戦友の岸本先生をさり気なく労っています。
極めつけはONE PIECEのロゴ。 この回のみジャンプ掲載時のロゴがNARUTO仕様になっているんです。
いつもは麦わらの一味の海賊旗になっているOが木の葉隠れのマーク、Eの真ん中の線が手裏剣、そしてIを象っているルフィのシルエットが主人公うずまきナルトになっています。
ちなみにこのNARUTO仕様のロゴ、766話が掲載されている単行本77巻のカバーをめくると見ることができます。
ちなみにNARUTO最終回では、そのお返し(?)とばかりにナルトの息子ボルトが火影岩にラクガキしているのですが、そのラクガキが麦わら帽子を被ったドクロというワンピースを意識したものになっています。
839話「くそお世話になりました」
2016年42号にて、創刊から40年間ずっと連載してきたこちら葛飾区亀有公園前派出所(こち亀)がついに完結。
尾田先生はそれを記念し、839話「くそお世話になりました」にて麦わらの一味全員でお祝いする扉絵を描きました。
そしてルフィとゾロが、両さんこと両津勘吉の手配書の上に、彼のトレードマークである黒いカモメのような太い眉毛を描いています。
こちらも先ほどと同じく、様々なメッセージが隠されています。
まずは手配書に書かれている懸賞金額に注目。
この扉絵を上下ひっくり返し、ルフィが描いた眉毛も含めて左から読むと
110,5963→110番 ご苦労さんと、警官が主役のこち亀を描き続けた秋本治先生を労うメッセージが隠されています。
また、チョッパーとブルックは敬礼をしています。 それもワンピ世界の海軍式の敬礼ではなく、手を横にしたいわゆる普通の敬礼になっているのも細かい。
尾田先生のメッセージは扉絵だけにとどまらず、巻末の作者コメントにも「秋本先生はもう自由なんだ!!!」とその喜びを爆発させていました。
そしてこの時のサブタイトルは「くそお世話になりました」。 偶然なのかそれとも狙ったものなのか…?
ちなみに作中で両さんを描いたのは過去にもあり、427話「ここが地獄じゃあるめェし」ではバスターコールに派兵された海兵の中に両さんが紛れています。
これは、こち亀連載30周年を記念し、当時ジャンプで連載されていたすべての漫画に両さんを紛れ込ませるという企画が行われ、ワンピでは海兵として両さんが登場したということでした。
846話「タマゴの警備」
最近のワンピースでは、読者から扉絵のリクエストを募集しており、多くのリクエストの中から厳選されたものを採用しています。
しかし、846話「タマゴの警備」の扉絵リクエストはいつもと違っており…
O:好きな動物教えて S:おれウサギが好き
「M・Sさんの好きなウサギの絵を描いてください」 東京都P.N. 尾田栄一郎
なんと、リクエスト主は作者である尾田栄一郎先生その人。 しかも、ある人物に好きな動物を聞いてから描くという念の入れよう。
そしてこのM・Sという人物、いったい何者なのかというと、当時グルメバトル漫画「トリコ」を連載していた島袋光年先生。
島袋先生は、ワンピースが始まったのとほぼ同時期に「世紀末リーダー伝たけし!」を連載していたことがあり、このころから尾田先生と交流がありました。
そんな島袋先生の描くトリコですが、2016年51号にて完結。 尾田先生は同号に掲載していた846話の扉絵は、島袋先生のリクエストを取り入れた完結記念イラストを描いたというわけです。
そして例のごとくこの扉絵にも、島袋先生に対するメッセージが多く隠されています。
まず扉絵右上のスコアボード。 3と9でサンキューと感謝の意を示しています。
続いてイラスト左に注目。 チョッパーを頭に載せているのはシマシマのブタ。
これは、シマシマのブタを略して島袋先生の愛称である「しまぶー」を表しています。
扉絵内にいる5羽の小鳥も鳥・5→トリコとなります。
実は扉絵全体にも秘密が隠されており、イラスト奥のやたらと耳の長いウサギと2羽のトリで「ト」、ウサギに負けじと必死に耳を伸ばすルフィで「リ」、右下のにんじんをかじっているウサギで「コ」と、それぞれのキャラで漫画名を表現するという粋な計らいになっています。
ジャンプで尾田先生が共に走り抜けてきた戦友ということで、まさにリクエスト以上の最高の扉絵イラストとなりました。
1122話「イザッテトキ」
最後に紹介するのは、1122話「イザッテトキ」での扉絵リクエスト。
そのリクエストの内容は「22年前に愛知県の少年が描いたスモーカーの絵をマネしてみて」
ここの「愛知県の少年」とは、単行本23巻のウソップギャラリー海賊団(UGK)にスモーカーのイラストを投稿した堀越耕平君のこと。
堀越耕平という名前を聞いて、ピンと来た人も多いかと思います。
そう、僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)の作者堀越耕平先生にむけたものだったのです。
UGKに向けて手強い男スモーカーのイラストを描いたあの時の少年は、今や尾田先生と一緒にジャンプの漫画を描くプロの漫画家へと成長していたのです。
77巻のSBSでは、ジャンプの新年会で尾田先生がこのことを知って嬉しいと語っていました。
そんなヒロアカも、2024年37号でついに完結。 それを記念して尾田先生は、ワンピが大好きだったかつての堀越少年と同じくスモーカーを扉絵に描くという粋な計らいをしてくれたというわけですね。
しかもこのスモーカー、見た目こそ新世界編のオールバック姿ですが構図は堀越少年が描いたものと同じで、服には23 USK(ウソップギャラリー海賊団23巻)、右上には「HERO ACA(ヒロアカ)」の文字が。 細かいところまで小ネタを仕込んでいますね。
まとめ
以上、扉絵で粋な計らいを見せてくれる尾田先生まとめでした。
尾田先生、ストーリーや画力など漫画家としてのレベルがかなり高いのはもちろんのこと、こういうサービス精神旺盛なところもワンピースが多くの人から愛される所以と言えるかもしれませんね。